養育費支払2割どまり 改善に向け行政書士は何が出来るか

「離婚による母子家庭が増える中、父親から養育費を受けているのは約20%と低迷」との報道がありました(2013年4月22日日経)。1983年11.3%から1998年に20.8%へ増加し、それをピークに再び20%を割り込み、今回19.7%へ若干上昇していますが、母子家庭の推定数は2011年で約123万所帯、平均年収291万円、離婚が原因の母子家庭は80.8%を占めているそうで、この養育費支払率を倍増させることは喫緊の課題と思います。

一年間の出生数が約106万人、死亡者数が126万人と少子超高齢化と人口減少が進む日本で、また、年金生活者の最低生活費年間288万円とほぼ同額の年収で、貧困とも云える厳しい生活環境にある母子家庭に、最低でも100万人(123所帯×離婚が原因の比率80.8%=98.4万人)の子供たちが『子供が離れて暮らす親からも愛され「生活を保障される権利」は守られていない』現状にあります。但し、子供は一人だけとは限りませんので実態は更に増加します。

何故、養育費は支払われないのか? 何故、母子家庭が増えたのか? これらの質問に対して色々な角度からの意見があると思います。また、別途、景気回復策として、現政権が産業界に要請している「育児休暇」の3年への延長が女性の社会進出と人材の活用を図るために功を奏すのかも、注目する必要があると思います。

事実、行政書士の無料相談会で離婚に関する相談は遺言・相続に次いで多くあります。調停離婚、慰謝料、養育費、財産分与、親権、年金分割等、多様ですが、残念ながら行政書士で対応できるのは協議離婚書(私文書、公正証書)や財産目録等の事実証明書類作成等位ですので、調停離婚となれば弁護士等を紹介する事になります。

しかし、弁護士に依頼する人は多くありません。やはり報酬が高くなるとの認識が強いようです。離婚の内、協議離婚が90%、調停離婚が9%、残りが裁判・審判です。このうち協議離婚で行政書士や司法書士に依頼し公正証書作成している人がどれくらいいるのか私は知りませんが、多くの人は当事者だけで話し合い「離婚届」だけを提出しているように思えます。

2004年に民事執行法等の改正があり、養育費等の金銭を支払う相手方(債務者)の「財産開示手続き」制度が日本でも始まりました。これはいざ強制執行できる判決等を手に入れても債務者の財産状況がわからないと、強制執行をすることが出来ず、時間と費用をかけて裁判に勝っても実際の回収が出来ないということがあって、その反省も踏まえ創設されました。

かつて金融機関が担保等がない不良債務の回収の困難性を立証するために「損金訴訟」という裁判までして請求をしたけど回収が実現しなかったから、償却認定して下さい、といったことも多々ありました。

このため、改正時に、債務者の財産を把握するための方策として財産開示手続が創設されたのですが、債務者側から見ると債権者が弱いものいじめの道具として使うのではとの懸念もあり、法廷に呼び出された債務者が財産開示に関する宣誓をしなかったり、不出頭の場合は30万円以下の過料とすることになりました。30万円というと個人では高額ですが、多額の負債を抱えた債務者だと少額と云えます。また、外国のように拘禁、刑事罰になりません。

よって、財産開示手続きの出頭率は54%、開示率は37.6%(大阪地裁 平成18年)と実効性は低いようです。(但し、出頭率と開示率の差は法廷外の和解が成立し取下げされているためだそうです。)

養育費不払いにおいて、この財産開示手続きを利用するのは一考かもしれません。法廷で「宣誓」するのはプレッシャーになりますし、裁判官や債権者からの質問に答えなければなりませんから。但し、これも行政書士として残念な事なのですが、公正証書による債務名義は対象外だと云うことです。つまり、金銭の支払を内容とする確定判決、和解調書、調停調書を持っている債権者からの請求に限られているためです。

通常、このような強制執行業務は債権者や弁護士が行います。永年、債権者として強制執行手続きを行ってきた私から見ると、わざわざ弁護士に頼むような難しい業務には思えませんが、やはり、「敷居が高い」のが現実です。

現在の家裁の調停事件は弁護士が付かない当事者同士と調停委員という専門家が面接を重ね、合意に導く方法で進みます。よって法律知識があまりなくても調停申立は可能となり、敷居は低くなったと思いますが、養育費の未納率を高くしないことには、母子家庭のような弱者を救済することにつながらないと思います。

行政書士、司法書士、弁護士と夫々の時給は違い、提供するサービスの内容や報酬が違っていますが、今後は、これらの士業が連携して、庶民の権利を守るために、夫々の事業領域の役割分担を果たす事が、養育費未納率改善になるのではないかと思います。

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