金融円滑化法終了確定と事業承継

遂に金融円滑化法が終了することに成りました。中小企業の実態を憂慮した公明党や与野党の一部政党から次の参議院選挙を睨んだ半年程度の延期論が燻ぶっていましたが、自民党が押し切った形になりました。

ご存知のとおり自民党は大中小に関係なく企業経営者の基盤があり、また、商店主や農民等の個人事業主からも根強い支持を受けています。これらの産業はグローバル化によるデフレ経済で競争力を失いつつある日本において、これまで通りの事業存続は厳しい環境にあります。

つまり、供給過剰の生産体制や過剰サービスが底辺にあり、過剰な同業他社の存在が競合を更に推し進めるなか、金融円滑化法がスクラップ・アンド・ビルドを阻止して来た面もありました。資本主義経済において競争力が無くなった企業は撤退を余儀なくされるわけですが、円滑化法がその問題点を先送りしたことは確かでしょう。

例えばM&A、吸収する側が支配権を持ち被合併会社を飲み込み、被合併会社の役職員をリストラして行くのは戦国時代から当たり前のように行われてきました。その役職員が優秀であればあるほど目障りな存在に成るのです。会社更生法に限らず私的再生においても経営責任を追及するのが原理原則で、敗軍の将兵を語らず、です。

特に供給過剰であった建設業、ゼネコン、元請等には、適正規模への業界再編が不可欠で、業績不振の理由に同業他社の存在を上げ、赤字受注をしてまでもラインが働いてる、機能している見せ方で、その存在感をアピールする経営は資金繰りを悪化させてしまいます。

私は、金融円滑化法終了を資本主義の自由競争の復活と見ています。競合先が多いと利益を確保することは非常に難しくなります。経営基盤がぜい弱な中小零細企業から破綻・戦線離脱することは目に見えています。しかし、確かな技術やノウハウを有する従業員は生残っていきます。会社が潰れて一番先の困るのは株主と経営者であり、労働債権者である従業員は一定の身分保障や労働債権の分配があり得ます。

このことをよく理解している経営者は外部の投資家に事業承継を託す可能性が強まる気がします。現在、親族外事業承継は40%まで増加して来ました。しかし、円滑化法下でり・スケジュール(約定返済の見直し)を求めている事業主は会社を見売りせざるを得ないかもしれません。この場合、投資家は企業価値を超えた過剰債務部分について、既存債権者に債権放棄を求めてくることになるでしょう。

一方、親族内事業承継の場合は過剰債務をそのまま継承する場合と、会社分割による第二会社方式で優良資産のみを承継し、不良資産部分は債権放棄で清算する事業再生の手法が必要となるケースが増えることが予想されます。

永く続いたデフレにより中小・小規模経営の収益力は落ち、貸借対照表には償却不足や含み損を抱えた資産が残されたままになっています。赤字体質のまま事業承継しても後継者の苦悩は増すばかりです。親族内事業承継が減っているのは後継者問題以上に、経営不振による廃業が増えていることが大きな原因と思います。

金融円滑化法での経営改善計画で長期計画策定が求められますが、売上高が右肩上がりなる計画は現実的でなく低成長で縮小均衡によるキャッシュフロー改善をベースとした計画案が主流でした。しかし、これからは企業の存在意義となる特長を活かした売上増加策が求められ、そのための施策を多数織り込んだアクションプランが一層重要になると思います。

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