金融円滑化法出口戦略 自主廃業を勧められた?

金融円滑化法でリスケ要請した企業は3年以内に経常利益の黒字化、5年以内に債務超過を解消、10年以内の返済期間を財務指標にした経営改善計画を策定することが求められています。しかし、売上高が右肩上がりになるのは極めて厳しい経営環境ですから、どうしても経費削減、人件費削減、人員削減等に向かわざるを得ません。

しかし、中小企業の人員整理は大変難しい問題です。もともと限られた戦力で事業部門区分も明確に分かれていることは少なく、一人で何役もこなしています。また、就業規則や給与体系、福利厚生面等でも大手・中堅企業とは格差があり恵まれた処遇でありません。このため、一部社員の退職で事業が回らなくリスクを内蔵しています。

そのリスクを承知の上、金融機関や外部コンサルタントは本業の出血を止めるための縮小均衡策を求めて来ます。本業自体の粗利や営業利益が出ていない場合はビジネスモデルが壊れ、事業の継続性に疑義があることになりますから、その原因が一過性なのか継続的なものかを見極める必要がありますが、現預金が急減し資金繰りがいつまで持つか懸念されます。

本業以外の事業があったり、取引先毎の収益率や信用度合が分析できると、集中と選択で、社員のモチベーションを高める配置転換や役割期待の変更を行い、活性化を図ることが可能になるかもしれません。

しかし、金融円滑化法施行後、再度のリスケ要請を行ってきた中小企業は本業自体の収益性が悪化し、借入担保に入れている不動産も本業に必要な資産で、経営改善計画が立てられないケースも多々あります。

金融庁は「事業の持続可能性が見込まれない債務者」には事業継続に向けた経営者の意欲、経営者の生活再建、取引先への影響、銀行の取引地位や取引状況、財務の健全性等を総合的に勘案し慎重かつ十分な検討を行った後、債務整理を前提とした債務者の再起に向けた適切な助言、自主廃業への協力、或いはサービサー等への債権譲渡の十分な説明等々を銀行に求めています。

この指導は極めて適切で丁寧なものであるような気がしますが、一般的に「自主廃業」は普通清算で債権者には全て返済することが前提と思われます。債務超過でないと云うことです。債務超過の恐れがあれば特別清算となり裁判所に申立することになります。

しかし、債務者側から考えた場合、中小企業でリスケ要請し、計画も達成できない状況だと大半が債務超過になります。事業価値を失った固定資産、特に建物や機械設備は減価償却期間が長いので簿価残高の多くが含み損に代わります。撤去等で更地に戻す費用も特別損失になります。特別清算になると事業の継続は出来ません。

破産配当率が1.5%位しかないことを思えば廃業の場合も低い配当率になるでしょう。このため、事業継続を図りたいのであれば、通常は民事再生法を選択するか、サービサーへの債権譲渡を待ち債権放棄により債務の圧縮を図ることになります。銀行は余程の事情がない限り法務・税務の問題が発生しますから債権放棄は出来ません。

よって、金融機関から自主廃業を勧められた場合は、法的な再生手続きを取るか、中小企業支援協議会に相談するか、サービサーへの債権譲渡をお願いするか、外部の専門家と慎重に協議すべきです。

本日、11月28日の日経新聞で有力地銀の中間決算で貸倒引当金が前年同期比50%増に積み増しされているとの報道がありました。私は第二地銀、信金、信組の地域金融機関が同様に多額の積み増しているとは予想していませんが、今後、金融機関間の債務者区分の格差が拡大し、金融支援継続と支援打ち切り(回収方針)の対応方針相違が顕在化してくると思っています。

銀行の対応方針が違う場合は、各行、回収方針に移るケースが多くなります。回収方針になると事前にその説明がなされ、期限の利益喪失通知、預金凍結、預金相殺、担保権実行等に移ります。そのため、支援方針の金融機関も期失条項に抵触し、回収方針に転換せざるを得なくなるからです。金融機関はトリガーを引くことを避けたいと思っていますが、貸倒引当金は有税償却で課税対象になりますから、いつまでも放置はできないのです。
にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ
にほんブログ村

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • フェラガモ 通販

    Excerpt: 金融円滑化法出口戦略 自主廃業を勧められた? 所沢LBS 行政書士の事業再生ー詩人の経済学 /ウェブリブログ Weblog: フェラガモ 通販 racked: 2013-07-03 13:41