経営者は売掛金の回収に注意を払う

サービサーは金融機関やリース・割賦・貸金業者および破産管財人等が有する債権の回収を代行出来ます。しかし、これら全ての債権につき取り扱えるわけではありません。例えば金融機関の債権では、社債、ユーザンス手形、証明書等の発行手数料等については回収行為を行えません。

金融機関からサービサーが債権を買ってきたとき、これらの回収行為が行えない債権は凍結し、管理だけをすることになります。取り扱いを誤って回収行為を行うと、法務省検査等で厳しい指摘を受け、業務改善命令が公表されてしまいます。既に改善命令が出た業者は10社近くになりますし、法務省検査の精度も向上していますから、日常的な自己チェックが不可欠です。しかし、破産や民再時の債権届け出額に含めないことになり配当等にも影響が出るのは如何なものかと思います。

サービサー会社は債権管理回収業ですから全ての債権を回収してもよさそうですが、債権内容に法的事件性があったり債権額が確定出来ないものもあり、元々弁護士法72条で非弁活動として禁止していたものを、サービサーに特別に認めることになったため、取扱っていい特定金銭債権として列挙する方式になっています。

当然、弁護士は全ての債権を取扱うことが出来ますからオールマイティなのですが、債権回収は資産調査や相手方との折衝、保全、訴訟、執行等、色々な作業を必要としますので、弁護士個人だけでは対応できる範囲が限られます。よって通常はパラリーガルと呼ばれる補助者と作業を分担しています。

この延長線上として、弁護士事務所がサービサーの許可を受けているところもあります。法律知識、法律実務、訴訟行為を組織的に大量処理することを目指し顧客サービスの差別化を図っていると思います。

ところで産業全体での債権について考えると、管理回収に気を使うのは売掛債権、手形債権が主なもので、未収入金、立替金、(役職員への)貸付金等でも回収不能になるケースがあります。また、個人でも(親戚、知人への)貸付金または求償債権、慰謝料等があります。これらをサービサーで扱ってほしいとの申し出が以前は頻繁ありましたが、残念ながらこれらは弁護士の業務になります。

私はサービサー出身の行政書士ですから、時々債務問題の相談を受けることがあります。債権・債務の当事者としての交渉は弁護士法に触れますから、当然、代理人にはなれませんが、必要なアドバイスを行うことにしています。法的手続きを要す場合は弁護士を紹介します。

売掛金等の商事債権は回収して始めて取引が完結するわけですから、企業の営業マニュアルには独自の取引条件や未収時の対応案を取り決めていますが、全てがうまく進むとは限りません。未収が発生する場合は相手方の信用状況が低下したりだけではなく、商品やサービス等に問題があるケースもあります。また循環取引、不正販売等のトラブルにより売掛金として残されているものもあります。

企業審査では売掛金の増減や回転率等を参考に判断しますが、個別取引先に照会し監査しないと安心できない勘定科目といえます。一方、そうした債権が回収不能または困難であっても損失処理をするには回収できないことを疎明する資料を用意しなければなりませんから、それはそれなりに大変な場合もあります。

私は不正経理や粉飾決算を推奨している訳ではありませんが、不良債権の回収の現場ではこの種の問題が溢れています。そして、その部分が増えて行くと法的な再生処理しか残されていない結果になってしまいます。

そうした状況にならないように、会社経営者は大口取引先が開拓できたとか、いい仕入れができたとかの動いている事象ばかりとらわれ過ぎず、長期化しつつある売掛金等の回収進捗や相手方の状況把握に努め、社会通念、税務、法務の問題的を検討し、次の次善策を講じる必要があります。また、与信面や初期動作を含めマニュアルが形骸化していないかの自己点検が重要になります。

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