夫婦相互遺言は早めに作成しましょう。

最近、夫婦相互遺言を作成する機会が増えてきました。新聞・雑誌、テレビ等で相続や成年後見を扱うケースが増え、また相続税改正適用の時期も控えていることもあり、相続を含む老後対策への関心が高まっていると思います。先月、所沢商工会議所で開催した大手葬儀社セレモア主催のセミナーも定員60名を超えました。私は遺言について話しましたが、受講者は真剣に聴かれているので、笑いをとり和やかな雰囲気にすることに苦労しました。

さて、ご承知のとおり、子供がいない夫婦の場合、夫婦のどちらかが死亡すると、相続人はその配偶者と親、もしくは兄弟姉妹になります。通常は親は既に亡くなっているケースも多いので、大半は被相続人の兄弟姉妹と遺産分割を協議することになりますし、被相続人の兄弟姉妹が死亡している場合は、その代襲相続人(被相続人の甥・姪)も相続人となります。

兄弟姉妹の職業、居住する地域、家族構成、生活環境も違いますし、核家族化も進み、親族の交流機会も減りました。また、兄弟姉妹には夫々配偶者もいますから、相続権に関する考え方が違ったり、複雑になるのは当たり前かもしれません。また、代襲相続人とは世代間ギャップも存在します。
そうした状況において、特に、相続財産の大半が居住している自宅である場合、相続争いになると、残された配偶者がその家に住み続けるには、共有名義人となった兄弟姉妹に家賃を支払うとか、法定相続分相当額を別途用意して、兄弟姉妹に支払う(代償分割)ことが必要になったりします。話合い次第では自宅を処分する換価分割で解決することになりかねません。裁判所の判断基準は法定相続割合になるので注意が必要です。
しかし、兄弟姉妹には遺留分がありません。よって、自筆遺言でも、公正証書遺言でも、形式を満たした遺言書が存在すると、被相続人が意思表示した相続が実現されます。

このため、夫婦相互遺言は、残された配偶者が被相続人の兄弟姉妹との遺産分割でもめないように配慮する目的があり、「愛のメッセージ」と言われています。子供がいない夫婦の場合は、早い時期から遺言作成を意識し、配偶者の将来に配慮することが不可欠です。

次に、夫婦相互遺言の場合、万一、残された配偶者が引継いだ遺産を含め、改めて遺言書を書きなおすことも多いのですが、夫婦どちらが先に亡くなるかは定かではありませし、偶然にも夫婦が同時に亡くなるケースもあります。また、遺言を書き換えようと思っても、そのとき病気等で法的行為能力が喪失し、書き換えができなくなっている場合も想定されます。

そうしたリスクに備えて、相続人が遺言者より先に亡くなった場合或いは同時死亡の場合、遺言書があっても、その相続人に関する部分は無効になってしまいますので、それに備えた予備的遺言が重要になります。
予備的遺言にすれば、遺言者の意思に従った相続・遺贈の実現性が高くなります。
また、夫婦夫々の予備的遺言の内容に相違があっても、残された方が遺言を書き換えることも出来ます。一方、夫婦が同時に死亡した場合は、夫々の所有する財産は、夫々が予備的遺言で指定した相続人等に遺贈されることになります。


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