遺言作成最適年齢は70歳?

私の無料相談会のデータ分析では、相談者の80%は天命を知る50代以上で、そのうちの半分は還暦を過ぎた60代です。60代は定年退職し年金生活に入り、親の介護や相続、そして自分の遺言も気にするようになりますが、それ以外の色々な相談が目白押しです。

古希や喜寿を過ぎた頃から遺言相談の比率が高まってきます。時々、相続が未解決なケースも散見されます。現代の天命を知るのは70代かもしれません。

一方、不惑の40歳以前は離婚等の男女問題や事業に関する相談の比率が多くあります。しかし、相続に関する相談は20代を含む全世代に見られ、人の一生の長短を垣間見る思いがします。

地方自治体である所沢市主催の高齢者大学の募集年齢60歳以上ですが、1年後卒業した人の平均年齢は67歳でした。65歳は国民年金の受給年齢ということもあり、それ以降、現役を卒業し老後が始まると云う感覚を持つ人たちが増加している気もします。最近、60歳代を高齢者と呼ばない地方自治体も出て来ました。先日開催した遺言教室のセミナーに参加された受講者の大半は70歳代以上でした。

男性の平均寿命が80歳、不健康期間が6年あると云われていますので、単純化すると74歳までが健康的な肉体と精神を持続していますので、これまでに遺言作成することが最適と言ってもいいかもしれません。しかし、当然に個人差がありますので、70歳まで待つことを薦めている訳ではありません。現実は遺言を書かない人が圧倒的に多い状況です。

しかし、昔と違って、子どもの数も少なく、離婚率も高く、かつ核家族化が進み持ち家比率も高い現在、遺言がなかったために相続トラブルとなるケースも増えています。遺言があっても遺留分等に配慮しないと争いになる可能性はありますが、仲が良かった親族が不仲になることは避けるべきだと思います。

それは、高齢化・長寿化そして少子化社会において、年金制度が破綻しつつあることや生活保護、介護制度、加えて成年後見制度等の高齢者を取り巻くセーフティネットを維持するため、その適用に際し、厳格な運営が公的機関にも求められ、所謂、親族に対する扶養義務が要求される可能性が高くなると予想されるためです。

また、バブル以降、不動産価格は低下し、給与所得も低所得化して来ました。これから70歳以上の高齢者となる世代はバブルの時にマイホームを取得された方が多く、その多くは資産が目減りしていますし、その子どもたちの年収も昔のように勤続年数で増加することはなく、キャッシュフローの流れや収支バランスに敏感で、ゆえに堅実です。

よって、遺言を残さなくても残された遺族が協議し、夫々が納得する解決策を導いてくれるだろう、というのは貧しい時代を経験し、昭和の成長期やバブル等のインフレ時代を経験した世代だけが持つ、楽観的な発想の様な気がします。現在の若い現役世代はデフレ経済しか知りません。しかし物資が溢れ、かつアメニティーがあるサービスに慣れた世代でもあり、マニュアル化・平準化をベースに考えます。そして今や家督相続は死語で、遺産相続は清算配当手続きの一種と見做すかもしれません。

ともあれ、70歳は古希。晩婚化ですが孫もいる年齢です。平和で健康的な人生を送ることが出来たことに感謝し、遺言を書くとか、遺言を書き換える最適な時期が古希だと、日本人の風習として定着する日が来るかもしれません。当然、体力面、家族構成面等の固有の事情がある人は、直ちに書くべきと思います。

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