行政書士会と日本政策金融公庫の提携・・・金融支援転換に対応できるか

今年3月末で金融円滑化法(モラトリアム法)は終了しましたが、中小企業向け融資の金融政策を維持するため、政府、金融庁・中小企業庁の強力な指導のもとに、金融機関の対応は大きな変化はありませんでした。経営改善支援対策本部が設置され、昨年からの経営革新等支援機関(認定支援機関)も金融機関や税理士を中心に次々に増加し、中小企業支援ネットワークの情報交換等の連携は進んでいるようです。

日本行政書士会は今春、日本政策金融公庫と業務提携し、それを受けて、行政書士会単位会と公庫当該支店との間で業務提携が進み、中小企業等の支援、創業融資に関する支援や情報提供を進めています。しかし残念ながら、埼玉では具体的な動きはありませんでした(私の情報不足、認識不足かもしれませんが・・・)。

元々、行政書士が中小企業の資金繰り支援策として、金融公庫等からの借入金を調達するにつき、必要な資料を作成したり、アドバイスすることは従来からある業務です。よって、単位会が業務提携しているかの有無は実務的には関係ない話になります。但し、行政書士会が組織的に動くことは、行政書士の役割期待をアピールすることになりますし会員各自の業務領域を拡げることにつながりますから、会員にとってプラスです。

私は士業交流会「所沢くらしとビジネスを支援する会(LBS)」の発起人メンバーで、その士業仲間と勉強会に参加していますが、運よく今年は、日本政策金融公庫川越支店の担当の方から2回も公庫の取組姿勢や方針を聞くことができました。来年は、この経験が実務に活かされると感じています。

モラトリアム法が終了し、参議院選挙で与党が圧勝しました。アベノミクスで再び強い日本に向けた成長を目指しています。しかし、高度成長期の時代と約半世紀後の現代は、大きく相違してしまいました。大人の数と子どもの数、先進国と途上国の人口や人件費比率、絶対量だけでなく、夫々の中身、つまり占有率が変わってしまいました。これからはワークシェアリングすることが当たり前の世界になる気がします。

ところが、今月中旬、中小企業庁は「中小企業・小規模事業者の資金繰り支援を強化するという政策と事業規模が予算案が発表しました。閣議決定された「好循環実現のための経済対策」を受け、信用保証協会を通じた金融公庫による資金繰り支援としてのセーフティネット保証5号(100%保証)が縮小され、平時の80%保証に移行されることになるようです。金融庁は1年以上も前からこのセーフティネットの幕引きに動いているとの噂もあったと記憶していますが、補正予算案「事業規模10兆円の金融支援」のタイトルの中で目立たない様にリリースされています。

また、このリリースの中でも、設備投資で新陳代謝を推進したり、創業支援や経営改善支援にも予算が割かれています。税務面も含め、政府は日本の再生に向けているようです。但し、創業資金、再生資金、再チャレンジ資金等について実務的に資金調達を図ることは至極困難であることも現実です。

今年、ビジネスに関する数件の相談を受けました。起業家、起業準備中、創業3年目、老舗小売酒屋、特殊物の製造業者等々です。どこも軌道に乗っているとは言い難い処ばかりで、経営者に問題点を聞いてもきちんと答えられる人は少ないと思います。起業家の大半は失敗します。それは最低資本金が10百万円の頃から云われてきた通説です。

そして、この10年間で起業しやすい制度が次々に創られ、起業した後の延命策も柔らかくなってきました。デフレの中で就職できない若い世代を考慮したり、ソフト面へのシフトを反映した背景もあったと思います。しかし、昔と比べスクラップ&ビルドの回転が効かない閉塞感が潮流にあり、それは現在も続いている気がします。

今回発表された中小企業庁の政策「経営改善支援」の中でも、リスケ要請をした企業が、再リスケをする場合は金融機関から「同意書」を取得すれば支援が継続できることになりました。今年からは実抜計画や合実計画は金融機関が策定したものでも可能な取扱になっています。

金融円滑化法終了後、ソフトランディングの仕組みが創られています。経営破綻するよりはましだと云う意見もあるのでしょうが、売上拡大や収益改善が出来ない事業が継続できる筈はありません。赤字垂れ流しの窮境事業者であっても資本的・財務的な支援が続く限り延命は可能です。しかし、膨張した赤字はいつか弾け、破産配当に近い回収金(リターン)しか得られなくなります。

一方、中小企業等の経営者が破綻しても再起しやすいシステムが検討されています。破産時の自由財産としての生活資金や自宅を残せるように経営者保証制度を見直す方針です。従来は法人の自己破産は代表者個人とセットで全ての私財を失う仕組みですから、この保証制度の見直しが実現すれば、重い負債から解放されます(実はサービサー制度の機能と同じです)。

データバンクの集計では、今年9月期の主要行、地銀の金融機関の不良債権比率は改善されましたが、貸倒引当比率では、主要行は引当比率が増加したのに対し、地銀はそれが低下しました。つまり、主要行は債務者区分を厳格化し、地銀はそれを緩めたと思われます。つまり本来は退場すべき企業の不良債権処理を先送りし、回収不能部分を膨らませたことになります。そして、今回のセーフティネット100%保証の転換で金融機関のリスクは高くなりますから金融支援先への対応も当然変化します。加え、経営者個人制度が続くことになります。

来る2014年が日本再生への転換になることを期待します。
そして、行政書士は、金融政策転換の兆しを中小企業の取引先経営者に伝えるとともに、企業成長支援や事業承継、知的資産経営等の面で活躍することを願っています。

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村 にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ
にほんブログ村

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック