金融円滑化法終了後の経営改善計画とリスケ要請

金融円滑化法が今年3月末に終了し、中小企業の倒産が急増することもなく、政府が宣伝するように「金融円滑化法がなくなっても何ら変わりありません」という静かな状況が続いています。自治体、弁護士会や商工会議所等に相談窓口が設置され、睨みが利いているのかもしれませんが・・・。

但し、通常、この時期、金融機関は期末決算処理や人事異動もあり、新年度の重点施策に取り組み始めたばかりですし、期末に不良債権処理しサービサーやファンドに売却した債権の譲渡手続きに追われたこの一月だったでしょうから、例年この時期には目立った動きはでないものです。

4/28 日曜日、日経新聞の中外時評で「中小企業再生、機を逃すな (サブタイトル)先送りと官頼み 限界に」という論説が掲載されていましたが、金融円滑化法での資金繰り支援、信用保証協会の100%保証、、官民ファンド設立等の伝統的な補助金行政も限界に来ていると指摘しています。

この記事で私が注目したのは中小企業再生支援協議会を統括する全国本部の藤原敬三・統括プロジェクトマネージャーの談話です。「再生に必要なのは変わらないといけないという意識改革」と「この先3年で実行すべき再生案を真剣につくることが重要。場合によっては廃業する覚悟も含めてだ。それ以上先送りしても道は開けない」。至極的を得た発言と思います。

ご存知の通り、支援協議会は中小企業再生に向けて取組んでいる組織で、金融円滑化法出口戦略でも年間3000件という再生支援の数値目標を期待されています。支援協はメインバンクだけでは対応が難しいが再生の可能性が残されている中小企業の相談に乗っています実務的な組織です。

但し、支援協には弁護士、公認会計士、中小企業診断士、税理士等の専門家もいますが、大半の職員は銀行の審査畑出身で、企業分析や事業再生に関する知識と経験豊富なスペシャリストの集まりですが、元々は銀行文化で育った人達ですので、売上や事業収益の拡大につき、当該企業の業界に精通している人達ではありません。よって、事業再生に一番大事な売上高増加策は、経営者自身や役職員全員で議論し英知を織り込んだアクションプランを真剣に創り、その進捗と実現性を常に検証していくことが不可欠になります。

ところが取引先の銀行員や外部のコンサルタントが主導して作成した経営改善計画は債務者企業の役職員全員の共通認識になっていない場合もあり、毎年、再リスケ要請を繰り返す結果を招いています。また、経営改善計画自体が策定されていない中小企業も多くあるようです。

この再建計画を策定し正々と遂行しても、赤字垂れ流し状態から企業収益黒字化までは約3年かかりますし、債務超過解消はその先に成ります。現在の余剰キャッシュフローで借入債務を償還するまでに何年かかるか計算し、その償還年数が20年超だと債務者格付は要注意先、30年超だと破綻懸念先になる恐れがあります。

そうした厳しい経営環境下で生き残るためには計画初年度の改善計画やその実現性の根拠となるアクションプランが大変重要になる訳です。金融円滑化法下で、金融機関は殆どのリスケ要請を容認して来ましたが、この間、債務者企業のモラルハザードの高まりに対する警戒心や猜疑心は相当なものがあります。

よって、今期以降に到来する経営改善計画更新に際しては、真剣な取組を行っていることを金融機関に説明し、その理解を得られるよう説得する必要があります。また、逆に金融機関もこれ以上の金融支援が出来ない場合はその旨の説明責任がありますから、お互い、神経をすり減らす折衝になることも十分予想されます。

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ
にほんブログ村

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック