建設業が立ち直るために知るべき現実(モノ)

建設業の財務分析をしているとき、粗利(売上総利益)が赤字の場合があり驚かされます。売上から売上原価を控除した初めの段階から赤字が発生しています。この粗利から販売管理費や利息等の営業外費用を引くと、更に赤字は拡大します。

売上原価には建設の材料費や工事を実施する技能者(職人)の人件費が含まれています。請負価格は発注者や元請と個別に契約を交わし、下請は指定された工事の完成を請負う訳ですから、通常は契約締結段階で粗利が出るような見積価格を提示するはずです。しかし、何故、赤字になるのでしょうか?

色々な事由があります。天候不順等で予定以上に工事期間が延びた、着手時期がずれ込み事前に確保していた技能者の人件費負担が増えた、逆に技能者が集まらず人件費単価が高くなった等は日常茶飯事に起こりえます。しかし、問題はこれからです。例えば、当初の設計図が施行途中に変更もしくは追加されたのに、その追加工事を下請けが被ったりします。

元下関係。元請と下請の関係で建設業は成り立っています。ゼネコン→元請→下請→孫請と工事が発注されます。建設業の専門工事業者は中小・小規模経営者や1人親方が中心で下請業務を支えている構造になります。このためゼネコン・元請は下請と比べるまでもなく優位的立場にあります。

システム設計の場合も元下関係はありますが、システム会社の現場は事務手続きが何時でもできる業務環境にあるためかどうかは不明ですが、現場でクライアントよりシステム変更の依頼があれば直ちに指示書の作成や確認を行い、追加見積書を提示するのが一般的です。しかし、建設業は建設現場で変更工事の指示が出され着工するケースが多く、変更工事なのか工事不備の改善なのかで、もめたりします。但し、変更工事の加工図作成こそが下請のノウハウとの意見もあります。

また、。工事の完成予定時期が決まっていて急ぐ必要がある場合は、入札や見積価格の提出を待たずに、つまり契約締結前に工事に着手することもあるようです。元下関係の「阿吽の呼吸」かもしれませんが、結果的に元請が決める価格に従わざるを得ないことが多々あるそうです。

所謂「さし値発注」は業法で禁止されています。しかし、現実的にはグレーな契約行為が行われているようです。根底には元下の力関係と下請同士の仕事の取り合いがあるからでしょう。しかし、下請いじめだけなのでしょうか?

大手ゼネコンの決算報告でも赤字会社が増えています。また、業界の粗利の平均は10%以下と産業全体では低い水準にあるように思っています(詳しいデータがないので曖昧な表現にしています)。ゼネコン自身が赤字受注をしているとの指摘もあります。供給過剰状況が続いていたからでしょう。

国土強靭化計画で公共投資増強へ大きく舵が切られました。関東でも少しずつ供給不足になるものが出始めているそうです。今後、建設業各社は独自の実行予算を策定することや人材確保等が益々重要になります。高度成長と違い容易にヒトは戻ってこないでしょうから、専門工事業者間で、選択と集中による新たなネットワークが創られていくことになるのかもしれません。

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