サービサーと地域再生ファンドの連携 No.1

金融円滑化法出口戦略の金融庁等の政策パッケージの一つとして地域再生ファンドの活用があり、昨年後半、ファンドの設立が増加しています。2004年前後に設立された地域再生ファンド(41都道府県60ファンド)は当初計画より取扱案件数が少なく、あまり機能しなかった感があります。(2012.9.12コラム「 金融円滑化法対策 地域再生ファンドは期待できるか?」)

昨年9月12日、日経新聞が一面トップで「中小企業へ地域で基金 再生ファンドを創設する動き」と報じましたが地銀を中心とした地域再生ファンドは予想通り増加しています。

また、昨年12月26日、静岡銀行系静岡キャピタルがファンド運用者となり、県下の地域金融機関、信用保証協会等が出資した静岡中小企業支援ファンド(以下静岡ファンド)は投資予定額140億円に対し約9年間で105憶円の投資実績となり、35先支援し、約半分の17先につき再生支援が完了(債務超過解消)し、残りの18先は現在も支援中と開示しました。

投資形態はデット(債権買取型)が殆どです。デット投資は業績不振で経営困難・過剰債務に陥っている窮境事業者に対する地域金融機関の債権を時価評価でファンドが買い取る方法で、債権譲渡時に金融機関は売却損を償却処理します。

その後、ファンドは窮境事業者の再生計画を実施し、バランスシートの整理・改善及びキャッシュフローに余剰が出るよう経営指導した結果、窮境事業者の経営が健全化したら、元の地域金融機関がリファイナンスを実施し、ファンドはその資金を回収し差益を得るスキームになります。

静岡ファンドの支援先への投資額平均は3億円で、1先当り4千万円~10億円の投資幅になっています。業種別では地域がら旅館業が13先と最も多く、製造業11先、小売サービス業4先、卸売業3先、運輸業2先、生コン・砕石業2先です。従業員平均は57.8人ですから中小企業と云っても業歴のある中規模会社が対象になっている気がします。

静岡ファンドは投資予定額の75%とかなり高い投資実績をあげる成功した地域再生ファンドであると思います。何故なら一般論では20%前後にとどまっているファンドが多いと云われているからです。また、窮境事業者へファンドから派遣した銀行OBが直接、指導・激励と大活躍したようで、「金融機関OBは人材の宝庫」と自画自賛しているのはご愛嬌でしょうか?

従来より「銀行管理」会社に乗り込む人材は経営手腕が必要ですが、もともと金融機関OBが片道出向で在籍している永年取引先の中小企業も多々あり、タイミングにより力を発揮できなかったOBもいるでしょう。しかし、ファンド派遣は経営トップと同様の役割と責任を持ち、豊富な経験と知識が活かされで有効な改善提案が議論された結果ではないかと思います。

但し、気になる点は投資から7~8年経過しているのに支援中が半数もあることです。再生完了は債務超過の解消(解消見込み)、再生期間は再生計画により3~5年と定義されていますので、少し時間がかかり過ぎている気がします。収益性を追求するファンドではないかもしれませんが、破綻懸念先以下の不良債権処理のファンドですから本業そのものが改善されないケースもあるでしょうし、買取価格(当時の評価額)そのものが企業価値より高く設定されていたり、債権者間調整がうまくいっていなかったりというケースもあると思われます。

こうした情報開示は稀で、他の地域再生ファンドでも行われるよう願っています。出来れば投資効果も開示し、サービサーが買取する場合との比較検討ができればと思います。静岡ファンドは「再生終了後は元の金融機関に戻るのが原則」でここが「バルクセール(ファンド・サービサーへの債権譲渡=売却による取引終了)との根本的な違い」としています。しかし、サービサーが買い取った後、リスケ支援する窮境事業者の債権を買取したいという金融機関もありましたから、私には根本的な違いとは思えないのです。

にほんブログ村 経営ブログ コンサルタントへ
にほんブログ村

にほんブログ村 士業ブログ 行政書士へ
にほんブログ村


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック