まずは建設業の赤字受注の解消を!

建設業界は赤字受注が多い業界です。地域密着の労働集約型産業で色々な専門工事業種毎に労務費がかかり、工事に伴う労務費は売上原価に含まれます。このため材料費と労務費が予算オーバーすると売上総利益(売上高-売上原価=粗利)がゼロ以下となり、結果としての赤字受注になるのです。

但し、問題は結果としての赤字受注ではなく、元々赤字になることが判っていながら受注する案件が意外に多いという現実です。前回のコラム「国土強靭化計画は建設業の赤字受注解消に貢献するか?」でも少し触れましたが、建設業の専門工事業者は関連性の高い業種と協力し合う仲間意識が強くあります。

元請から見ても一次下請、二次下請等協力会社を系列化し、協力会社が前後の工程で連携や建設技術を深めてもらうことは有意義なことでした。

しかし、建設の発注そのものが長期低迷し、ピーク時(1994年84兆円)より半減(2010年38.5兆円)しました。特に公共事業は政権交代において「無駄な投資」として社会的な批判も強く、財政赤字により年々削減される経営環境の厳しさの中で、競合は更に激化し、生存者利益をかけた生残り策を図ることになります。

一方、官製談合事件が後を絶たないため、指名競争入札から一般競争入札へ移る過程で、工事成績、工事実績、品質管理の基準等が整備されるにつれて、ゼネコンによる系列化に拘らない、技術力、効率化等を優先し、発注毎に元請、下請のパートナーを組む方法へのシフトが進みました。

この結果、ゼネコンの下請となる専門工事業者は自社の提案力、技術力、組織力(職人の手配)等、独自性をアピールし、かつ競争力のある工事見積価格を提示するため、供給過剰の業界での競合上、利益率を下げざるを得なくなってしまいました。

競争入札において、工事の品質を保つことを前提とし適正な売上原価を算出するのはそう難しい事ではありません。しかし、供給過剰の経済環境においても元請、協力会社等の関係、繁閑期、新規取引、資金繰り等々、様々な要因で赤字覚悟のディスカウト受注が発生しています。

安倍新政権になり国土強靭化計画をベースに公共投資を全国的に拡大し、景気浮上を図る予定と建設業において明るい話題が出て来ました。但し、東日本大震災の復興事業も進んでいないと云われています。被災地ゆえに開発許可や建築許可が直ぐ下りないとか、建設の職人が集まらず労務費が高騰している等の理由もあるようです。

約20年間続くデフレ経済の中で、建設業は構造不況業種であり、建設業許可、年度報告、経営事項審査制度の規制もあり、この間、廃業も増え、就労人口も減少しています。このため、どこまでの需要増加に対応できるかが心配になりますが、まずは長年の赤字或いは縮小均衡の流れを転換し、事業継続の大前提となる黒字体質を早期に確保してほしいと願っています。

但し、財政赤字は深刻ですから、公共投資は国民の暮らしやビジネスに直結した政策に基づく投資効果の高いインフラに限る必要があります。また公共投資工事が完成したのちは民間企業に運営をアウトソーシングすべきと思っています。

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