金融円滑化法 経営改善に向けた定性情報の発信

昨日、所沢商工会議所主催の「経営計画書作成セミナー」、サプタイトル「金融円滑化法終了対策にもなります」を受講して来ました。講師はプロの経営コンサルタントである中小企業診断士國谷真氏で、銀行出身の方です。診断士は独立されたプロコンと企業内診断士に分かれ、夫々の専門業種で活躍の場を得ています。銀行出身の診断士は金融事情や銀行実務に強いこともあり、大変参考になるセミナーでした。

金融円滑化法による返済猶予=リ・スケジュール、所謂リスケですが、金融庁がまとめた今年3月のデータでは約313万件(債権数)、約85兆円の申請がありました。取引先数ではなく貸付債権単位ですし、法施行後約3年間の累計値で再申請も含まれていますので、実際の申請した事業者数や対象債権残高は不明です。新聞報道によれば、全国の420万社のうち1割前後に相当する30~40万社がリスケ要請を行い、5~6万社が厳しい状況になるとの観測もあります。

期限は来年3月末までなので、その影響もあるのか、最近のリスケ申請は1年間の期間を認めてくれず、半年後に再審査というケースもあるようです。しかし、基本的には申請が受理されれば1年以内に実現可能かつ抜本的な計画(実抜計画)を策定すればいいわけですから、今年に入って急激に業況が悪化した中小企業はまだ間に合うことになります。

金融円滑化法は支払猶予をする制度であるため、本来は経営不振や資金繰り悪化で廃業または倒産する企業の延命を図り、自由経済を歪め、かつ、この結果、需要が増えない中で供給過剰が続き一層の価格破壊や競争激化を招いているとの批判があります。私もこの考えを支持しているのですが、日本では倒産した後のセーフティネットや敗者復活を認める文化がないことを残念に思っています。

しかし、グローバル化した自由主義経済の中で、生き残るための企業努力は不可欠であり、従業員、取引先等のステークホルダーに支えられて事業継続している訳ですから、再生に向けた経営改善計画を策定するのは当然のことと云えますが、現実は先が読めないため計画値が作りづらい面も多々あります。

また、経営者は営業力や企画力、調整能力等の実行力は強いけど、経理、財務等の決算数値に弱い人がかなりいます。今回のセミナーでも経理担当と思われる女性が散見されました。金融機関もリスケ要請では決算や計画数値等の定量情報に集中してしまう傾向があります。加え、実現可能な計画であることが求められるため、その根拠ばかり要求して来ます。定量評価が自己査定の7~8割を占めますからそれは当然のことかもしれません。

今回のセミナーで講師が強調されていたことは定性情報についてでした。
日弁連の中小企業法律支援センターのHPでもキャッシュフローを高めて利息と元本の一部だけでも返済できる経営改善することが急務で、経営計画を達成すること、出来ないと抜本的な負債処理に進むと説明されています。同様に、通常の解説書も3年以内に経常利益の黒字化、債務超過5年以内解消、返済期間10年等々定量評価にばかり触れています。

ところが、中小企業再生支援協議会等で窮境事業者の支援を始める前に、事業デューデリジェンスと財務デューデリジェンスが行われます。財務DDは外科手術みたいなもので含み損を見つけ出す作業であり、事業DDは生活習慣病を治療する内科的なものだと私は思っています。ところがこの事業DDはその業界の独自性や仕入先、販売先等の特性を知悉していないと予測さえ難しいものです。

これを外部から窺い知るためにSWOT分析をし、その業界やその企業の特徴を掴もうとします。逆に債務者企業は、「改めて企業の経営目的と経営目標を再確認することが大変重要」だと國谷診断士は強調されていました。そして、それを受けて「債務者企業から定性情報を金融機関にアピールしなければ、銀行員はそれを見逃してしまう」可能性が高いそうです。

思えば、ビジネスローンは定量評価によるスコアリング審査が中心でしたし、銀行の人員減少も進んでいますので、定性情報を発信する必要性はリレバンが始まった時より現在の方が数倍高まっている気がしました。そして、急がば回れ、何故起業したのか?と云う経営の原点に戻るところから始めるべきかもしれません。


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