金融円滑化法対策 地域再生ファンドは期待できるか?

約8年ほど前、地域再生ファンドが設立されました。41都道府県で60もの地域ファンドが地銀等の地域金融機関と投資ファンドが提携したり、政府系金融機関が参加したり、複数の銀行が共同で設立したりしました。情報開示が少ないのでその成果がどうだったのか、よく知られていません。しかし、成功した事例は時々開示されていましたから、部分的には成果があったかもしれません。

最近、この地域再生ファンドの設立がニュースになっていましたが、今日の日経新聞では一面トップを「中小企業へ地域で基金」のリードで「再生ファンドを創設する動き」と派手に報じています。北海道、千葉、長野、広島の地域ではその具体例が紹介されています。

しかし、以前、再生の実務家協会やサービサー業界で見聞していた情報ですと、その殆どがファンドが設定した投資目標の2割前後しか買取することが出来なくて、機能を果たせなかったそうです。

地域再生ファンドの機能は、金融機関が保有する地元の窮境事業者に対する債権を時価評価以下で売却し、再生ファンドの経営指導で再生を目指してもらうということです。今朝の新聞でも「本業が順調でも過大な借り入れにより苦しむような企業」をファンドに移し、経営指導で「延命」を図る、とあります。

この文章は少し変な気がしました。
「本業が順調」であれば余剰キャッシュフロー(CF)がありますから、長期リスケが可能です。設備投資等で抱えた含み損を債権放棄等で処理すれば、金融機関のリ・ファイナンスは可能ですから「延命」ではなく「再生」そのものになります。よって、実際は「本業が厳しくても」が正しい気がします。そして縮小均衡化に向け延命します。

次に地域金融機関が地元の名門、老舗、シンボル的な企業等で多くの雇用を抱えたり、ピラミッド型の取引形態の基幹であったり、社会的インフラを支える企業だったりした場合は、「本業が厳しくても」地域経済の為「延命」を図る必要があると思います。が、このクラスになれば中小企業ではなく中堅企業ですから再生支援機構マターになるでしょう。

よって、このトップ記事は政策ベースの所謂、記事広告と考えた方が無難で、編集した記者の迷いが文章に出ている気さえしました。この記事を受けて再び地域再生ファンドが全国に作られていくのは目に見えています。元々、このファンドは金融庁のリレーションシップバンキング(リレバン)の一環であり、不良債権改善の数値目標を課されなかった地域金融機関の存在・存続意義でありましたので、どの銀行もファンド設立を金融庁に報告していました。

ファンドを活用する目的は、金融機関が不良債権をオフバラしたときに債権売却損を無税償却できることです。売却しないと回収不能部分につき有税で引当金を積まねばならず、この引当金は利益に計上されますから税金を払うことになります。この売却損はサービサーに売却する時も同じです。

ファンドに売却する、と云うと「ハゲタカ」が来たと不快なイメージ(残念ながらサービサーも同じかもしれませんが)を持ち、全ての資産が処分され会社も残らないと思われているかもしれない面を考慮して、地銀や政府系銀行がファンドに出資し信用補完している面もあります。

しかし、結果的には取引銀行以外の第三者が経営に介入することやファンドに譲渡すると引当金以上の損失が発生する等の理由で地域再生ファンドは活躍できませんでした。また、買取した後も金融機関間の調整が大変だったと察します。また政府系金融機関が入るのは、信用補完もあるのですが、メガバンクが入ると再生したときに取引先をとられてしまう危惧が強かったと思っています。

地方では貸付する先も増えていませんから、ファンドに債権売却した後もモニタリングを続け、再生時は再度融資をすることも視野に入れています。そのため、地域再生ファンドへの売却は真正譲渡についても不透明さが残ります。

今回、金融庁等の政策パッケージで地域再生ファンドを推奨していますが、以前の成功・失敗体験をきちんと整理し1社でも多く再生することに注力してもらいたいと思っています。

また、例えば30億円のファンドであれば、資金的にはサービサーでも賄え、実務担当者も配置できるでしょうから、地域再生ファンドに限定する必要はないと思います。

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