社会保障制度を守るために民生委員を有給にすべきでは

厚生労働省は新たに高齢者所在不明者764名の年金支給を停止したと発表しました。昨年は929名で、合計1,693名が停止されたことになります。2010年夏、30年以上前に亡くなっていた老人に遺族共済年金が支給されていたことが発覚してから高齢者所在不明が社会問題となりました。

その後のサンプル調査で85歳以上の年金受給者のうち3%に不正受給の疑いがあることがわかり、年金制度の不備だけでなく、住民基本台帳や戸籍制度の信頼まで損なわれることになりました。単にお役所仕事だから仕方ないと割り切る話かもしれませんが、高齢者が行方不明になること、また所在不明になっても周りが気付かないことに、現代の課題が含まれていると思います。

今、テレビドラマで武井咲主演の「息もできない夏」で無戸籍問題を扱っています。民法772条(摘出の推定)女性が離婚後「300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定する」の規定があり、前夫の戸籍に入れたくない場合等で無戸籍児が発生し、ドラマでは3,000名もいるとのことでビックリしました。

一方、高齢者所在不明は戸籍や住民票はあるのに生死や所在が確認できない人が、住民基本台帳上100歳以上の内21千人もいると云うことですから、こちらは驚愕ものです。昔、緒方拳主演の映画「楢山節考」で、寒村では年老いた親が高齢になると、自ら息子を急き立て、息子に背負われて、険しい深山に入り、そこで往生を果たす、と云う悲劇を扱っていました。貧しい時代は、こうした慣習が繰り返されていたようで、山姥伝説に通じると云われていました。

現代の高齢者所在不明者は姨捨山に向かったのでしょうか?子孫のために、昔は厄介者になることを避けるために、そして現代は身体は行方不明となるが、戸籍や住民票上は生き続けている事象が結構存在していて、子孫がその年金給付を受けていると云う訳です。これは当然、詐欺罪に該当します。場合によっては死体遺棄罪になります。これが現代の新たな貧困と云えるかもしれません。

2010年8月末に総務省は「住民基本台帳の記録の正確性の確保に関する通知」を発出しています。それによると関係部局間の連携強化、戸籍の届出等に基づく住民票の確実な記録、調査の実施、住民に対する広報を周知徹底することを図っています。

関係部局は国民健康保険組合、後期高齢者医療等を扱う福祉関係部局、税務担当部局、選挙管理委員会、日本年金機構、警察等です。このうち福祉関係部局において、直接、住民と接することが多いのはケースワーカーや民生委員でしょう。ケースワーカーは公務員ですが、民生委員は非常勤の特別職の地方公務員で、ボランティア的な存在です。

民生委員は厚生労働大臣や知事が委嘱し、任期は3年です。交通費等の支給はありますが、無給です。全国に23万人います。個人情報、特にセンシティプ情報を扱う立場なので守秘義務はありますが、何故か罰則規定がありません。無給ですから善意に期待すると云うことでしょうか?

私は、地元密着で、現場で活動する民生委員の役割期待を整理し、それに応じた対価、報酬を支給し、住民基本台帳だけでなく、年金制度、生活保護制度、成年後見制度を担保する存在として見直す必要があると思います。変えるためにはインセンティブが不可欠です。当然、そのための財源は現在の役所が管轄している仕事をアウトソーシングする訳ですから、その部署から付け替えればいいはずです。また、民生委員が公務員としての背任行為をした場合は罰則を科すべきと考えます。

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  • レイバン ウェイファーラー

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