熟年起業に行政書士は向いています。 

65歳定年延長法案(改正高齢者雇用安定法)が可決成立しました。来年の4月から男性の厚生年金報酬比例部分の受給開始年齢が61歳に変更されるため、現行の60歳定年だと、給与も年金もない空白期間を回避する狙いと言われています。但し60歳退職後、再就職活動をすれば失業保険の対象になりますから、対象の定年予定者はそれほど心配される必要はないはずです。

一方、AIG投資顧問事件やデフレ化の低金利で、企業年金(厚生年金基金)の運用が悪化し、将来の企業年金の支給が減額される可能性が高くなってきました。国民年金と厚生年金を合算した夫婦2人分の平均年金受給額は24万円で、ゆとりある生活38万円と云われていますが、この差額を埋める一つが企業年金でした。大会社を退職され悠々自適の年金生活者は恵まれた人生を過ごしてあるように見えます。

しかし、デフレ不況の低金利、少子超高齢化と長寿化で年金制度そのものが疲労し今後維持するために国税注入することになるため、新規の年金受給の発生を遅らせ、その年金負担相当分を企業の定年延長による人件費で賄うことにしたのです。そして、その次は、既存の年金生活者の年金額を下げることに着手する可能性が高いと思います。

企業年金以外に退職金等の現預金や年金型生命保険で賄うことも可能です。しかし、これらは事前の長期的な積立が必要ですから、計画的な生活設計が出来ていないと急に用意せよと云われても出来ません。

また、年金制度は経済が成長している頃に設計され、ベンチマークの金利が5%超で20年間で投資額が倍になる予定でしたが、現実的には1%の確保さえ難しい時代ですから、予定利回りで年金を支給続けると赤字出血になるのは当然です。

次に、年金生活に入っても、旅行、車の買換え、リフォーム、冠婚葬祭等々、イベントは続きますし、将来の介護を想像すると金銭的な不安は解消されません。一定の蓄えがないと、年金だけではゆとりある生活は難しく、現預金を取り崩すことになります。

加え、バブルやそれ以降に持家を取得した世代は大半が大きな含み損を抱えています。既にローンを完済しても現在価値は取得価格の半分以下になっています。まだ流通性がある場所であればいいのですが、人口が減少し高齢者の割合が高い地域だと、買い手が見つからず換価困難な住宅もあります。

事実、ベットタウンでも空家が増えていますし、相続手続きが放置された住宅もあります。核家族化と少子化および都市回帰でベットタウンの老朽化が進行しています。評価が下がれば担保価値も減少するため、老後資金確保のリバースモーゲージの運用にも影響を与えることになります。

昔は満足のいく持家を得るためには三回買い替える必要があると云われていました。不動産が値上がりを続けていましたので、持家を転売し、よりグレードの高い家に住み替えることを想定していました。しかし、土地神話が崩壊し、住宅着工戸数も減少し、空き家も増え、そして大震災で新たな放射線汚染、津波、液状化、地滑り、活断層等のリスク要因が増え、土地の財産的価値が揺らいでしまいました。経済的に余裕がない状態で相続にも影響を与えています。

そうした状況ですから、これからは年金に頼らない生き方を模索する必要があります。当然、定年延長で年金受給を65歳まで遅らせるやり方です。多くの人がこれを選ばれるでしょう。退職間近になっての独立や転職は厳しさを伴います。しかし、従来の組織の中で生きていくことをよしとしない考えや、そうした選択を迫られる局面もあります。

よって、どの様な仕事ならば生涯、熟年起業してもやっていけるかを選択肢の幅として用意し、準備して置いた方がいいと思います。では、熟年起業に向いている仕事は何でしょうか? 基本的には現在までの業務経験をベースに考えるべきです。技術指導として海外に赴任する人達も結構いるようです。

しかし、国内で考えれば、まず、農業でしょう。高度成長とともに都会に人が集まり第一次産業の人口が減少し高齢化しています。休耕地や荒地も増えているようですので、帰農または就農へ向かうことは必要だと思います。受け入れる自治体も増えているようです。しかし、個人の小資本では効率化は難しいでしょうから農業法人の活用等の制度面の規制緩和も必要な気がします。

次に行政書士や労務士および税理士等の士業やコンサルタント業も熟年起業に向いた仕事だと思います。これまでの業務経験を活かし、パソコンと電話だけの設備があれば何処でも開業できますし、こつこつと実績を重ねれば生活維持は可能と思います。

現在の中小企業の社長の平均年齢は約60歳ですし、平均寿命は約80歳です。自分の生き方、やりたい仕事、趣味等をベースに無理がない計画を立てたり、準備をしながら、定年時に熟年起業しても、まだまだ先は長いし、事を起こせば新たな色々な事柄が起き、新しい仲間や地域の人たちとの交流も始まりますので、老けこむ暇はないはずです(笑)。

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