格付は事象ですぐ変わる・・・住宅ローン債権流動化

長期債や転換社債等を発行するとき格付機関が当該企業のコーポレート格付を行います。その格付が調達金利に大きな影響を与えます。債権や不動産の流動化の発展とともに格付機関の専門性と公平性が評価され格付機関の評価が確立されました。

金融工学という難しい数学で倒産確率の統計値を基に、対象債権の集合体を細かく分析して投資可能な金融商品が開発されたのです。昔からジャンク債という投資不適格な投機商品が存在していたのですが、ジャンク債とは違う、格付機関からトリプルAの評価を得た証券流動化商品が誕生したのです。

リーマンショックの原因となった住宅ローン債権流動化は当初は返済能力が高い債権を中心にデフォルト率に懸念がある債権が若干含まれた債権で組成されていました。そのため投資家に安定的な利回りがいい商品と注目され、商品化すれば直ぐ売れる需要過多の状態になったのです。

しかし、住宅ローンは購入する物件と顧客がいないと成立しません。バブル化していた当時のアメリカでは物件が粗悪化し、購入者も安定収入がない層(例えば移民して来たメキシコ人)に拡大したのです。また、金融機関は住宅ローン債権を流動化することで銀行からその資産を切り離すことで将来のデフォルトリスクを回避しようとしていました。結果的には証券を購入した投資家へデフォルトリスクが転換される仕組みだったのです。

日本の土地神話が壊れたオイルショックのときやバブル崩壊後、瑕疵がある不動産と多重債務者をマッチングする悪徳不動産会社が暗躍しました。(売れ残った不良物件を多重債務者に購入させ、短期の消費者ローンを住宅ローンにひとまとめにして長期で返済させる仕組みでしたが、双方に問題があり表面化しました)

住宅金融支援機構が流動化商品(フラット35)を開始した時、安定収入がある顧客の定義は正社員や納税証明が取れる個人事業主でした。当然、派遣社員等の非正規社員が組む住宅ローンはフラット35には組み込めません。よって、フラット35に組み込めない住宅ローン債権を外資系の投資家へ売却することもありました。債権流動化市場ではそうした債権の譲渡も行われていることを頭に入れて置くべきでしょう。

今、日本の住宅ローンは1%前後まで低下し頭金が無くてもローンが組めます。頭金が多く支払い換価性が高い不動産の場合はローン金利が更に下がります。少子超高齢化で自然人口が減っている中で、家賃か高止まりしていることもあり、家賃を生涯支払うよりも取得した方が得だと云う考えが増えているのかもしれません。

所得が上がらない場合を経費の圧縮し縮小均衡を図ろうとすることは経営の原則で、理にかなっている気もします。しかし、果たしてそうでしょうか?

不幸な大震災があり、これまで人気が高かった沿岸部が敬遠され、山に近づくほど安くなっていた土地が見直されています。印象的な事象は人の価値観を変えて来ました。多数の帰宅難民が出た東京で職住接近が進んでいるのかもしれません。

しかし、不動産の価格は需要と供給で決まります。今の日本国土において集中と選択が進んでいるとしたら、また経済的に内需を拡大させようとしてスクラップ&ビルドで都心回帰が進んでいるとしたら、或いは、行き場を失った余剰資金が集中しているとしたら、また、債権流動化で貸し手責任が転嫁され続けるとしたら、日本の経済は大丈夫なのでしょうか?

大震災で日本が学んだことの一つは安全に絶対はないと云うことでした。極論かもしれませんが、都心や大都市で災害が発生した場合、日本は経済的に破綻するだけでなく、日本人がいなくなることも想像されます。そして少子超高齢化で自然人口は急激に減少し、ヒトが住まない相続されない空き家が増えています。

集中が進むとバブルが始まり、そして拡大すると将来の含み損やロス率を内蔵させることがあります。そうならないためにはリスク分散が不可欠です。流動化に際し格付機関が最重要するのは万一の場合にも正々と事業を続けられる体力です。そして、体力は危機管理能力となる想像力であり、設備等投資のリスク分散なのです。


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