金融円滑化法 変化の兆し

7月に入って私のプログで金融円滑化法をテーマにしたコラムの閲覧が増えて来ました。5月の倒産件数が増加したとか、保証協会の緊急保証制度が廃止になるとの報道を受け、金融機関の融資姿勢が厳しくなるとの見方が増えているようです。

金融専門誌も金融円滑化法の出口戦略を取り上げるようになりました。商工会議所も「円滑化法の終了前にやるべきこと」をテーマとした金融機関対策セミナーを開催する動きが出て来ました。もともと目端が利くコンサルタントは社会の変化の兆候を見つけ紹介することが開発営業ですから、それに惑わされる必要はないのですが、金融機関の現場では日頃の継続的な業務の積み重ねの中で、さりげなく取引先の業態管理を続け、面談記録等の報告書作成と上司指示を通じ、微妙な変化が生まれて来ます。

私はリスケ要請をしながら、その後、経営再建計画を未作成であったり、計画未達成の中小・零細企業の経営者に向けた対応策を発信して来ましたが、銀行から事業継続の意思確認や業態転換或いは廃業に関する質問等を受けたことがある経営者は取引金融機関の対応方針を冷静に見極める必要があります。

長年の決算対策、つまり粉飾決算のしわ寄せで貸借対照表の資産価値が劣化し実態債務超過になっている中小企業が散見されますが、なかなか実態貸借対照表を銀行へ提出することは出来ないでしょう。提出した瞬間、新規融資は絶望になりますから。しかし、リスケ要請をしていると融資を受けることはまず困難です。

ですから、リスケ要請した場合は現金回収と商事取引だけで事業継続が可能であるかが生き残るための必要条件になります。よって、この収支で利益が残るように売上収益の拡大、経費圧縮、支払サイトの見直しで資金繰りが出来るように改善を図り、残った利益を金融機関の返済に充てることになります。

このように営業利益が確保出来るようであれば実態貸借対照表で債務超過になっている部分を原則5年で解消する対策が必要になりますが、金融庁や支援協議会等は「資本性借入金の活用」を勧めています。5年以上の長期借入金を資本勘定にシフトすることで過剰債務を圧縮し自己資本を増加させることなります。

もともと回収の可能性が低い無担保の長期貸付金をサービサーに譲渡(実質的な債権放棄)するとその融資先との取引も解消されてしまいます。引き続き金融支援を考えている取引先であれば、その長期貸付金を資本に残した方が得策と考えられるからです。地域の産業や雇用に影響があるケースにこの手法による事業再生が期待されています。

しかし、金融機関が資本性借入金を使うケースは限定的だと思います。地域には同様の同業他社も存在しますから銀行の風評リスクになる心配があります。

一方、サービサーに債権を譲渡する場合ですが、サービサーと聞いただけで事業継続が難しいとのイメージが根強くあります。しかし、先程、金融取引が無くても商事取引だけで事業が継続出来るのであれば、事業は継続できるのです。そこは金融債権者が変わっても同じことです。

むしろサービサーだと債務者企業の法的処理を想定した実態貸借対照表を考慮し、債権放棄が可能です。よって、サービサーと協議し長期分割返済をするか、スポンサーの支援を受けた和解金による一括返済も考えられます。そして、分割返済を2~3年以上続けていれば事業も安定的になりエグジットファイナンスを出す金融機関が出てくることも予想されます。民事再生と同様の結果が得られる可能性もあるのです。

私は不良債権問題の変遷と現場を見て来ました。窮境事業者の経営者の皆さん、経営再建計画未作成であっても未達成であっても、まだまだ諦めずに事業再生、継続を目指していただきたいと願っています。

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