刑事ドラマでも遺言書は家庭裁判所で開封してほしい。

父は今年87歳になりますが、これまで自筆証書遺言を3回程書き換えています。実家に帰った時、「いざと云うときはここに遺言書がある」と保管場所を教えてもらったことがありました。父は区役所の公務員で開発許可や農地法転用および戸籍等も担当する実務家で、勉強熱心とのイメージを持っていました。

その父が行政書士になった私に電話し、「プロはどの様な書き方を指導しているのか? そのサンプルを送ってくれ」というので、行政書士実務家向けの塾で学んだことを参考にして要点や具体的な記載方法、そして封書封印等について簡単にまとめたものを送付しました。

1ヵ月後、その話に及んだとき、「今また書き直している」そうです。遺言の内容が大きく変化することは考えられませんから、書きかえる気になったのは不動産等の資産の特定、祭祀主宰者、遺言執行者等の項目と、封書封印等の書き方でした。父は高齢者ですから書きかえるのも相当の集中力が必要になり大変だと思います。

刑事・推理ドラマで扱われる遺言書は自筆証書遺言です。しかし、昔から今日まで葬儀終了後、自宅で開封されるシーンばかりで、このイメージが強すぎるのか、家庭裁判所の検認が必要になることは一般に知られていない気がします。超高齢化社会ですからドラマを作成する人達も実務的なリアリティがある表現に努めてほしいと思います。

自筆証書遺言が家裁での検認が必要であることはレクチャー本にも書かれていますから自力で遺言を書こうとしている人も知っていると思われますが、相続人までそのことを知っているとは限りません。また、そもそも遺言書の存在を知らない場合もあるでしょう。よって、その保管方法や存在を周知させておくことも必要になります。

遺言者が一番気を使うことは自分の意思を伝えることと相続人間で争いが起きないでほしいと云うことにつきます。当然、法定相続や遺留分も勉強されています。しかし、配偶者や相続人の今後の生活が成り立つように、または事業承継や事業経営に支障をきたさないないように、どのようにすればいいかを考え続け、熟慮の末、遺産分割案や付言事項を含む遺言書を書きあげます。

そして、相談を受けた専門家である行政書士は、その遺言者の意思を尊重しながら、法定相続分との大きな格差があればその理由を確認したり、財産や親族の調査を実施し、そして遺言書が有効に成立するように実務法学を担当しています。まさに街の法律家として市民に一番近い実務家の業務のひとつと云う気がします。

超高齢化でマスコミは相続を取り上げるケースが増えて来ました。しかし多くの高齢者が必要性を認識しているにも関わらず遺言書を書いている人は極少数派です。大震災もあり、絆の大事さを日本人は心情的に深く感じ、理解しています。にも拘らず、現実的に、権利意識の高まりとデフレ進行等も重なり、経済的な余裕を失いながら、親族間で争族が発生してしまっています。

少子超高齢化の歪みの進行で、社会制度と医療制度等でも漸くリスクヘッジの志向が出て来ました。リスクは予防しヘッジが必要です。

よって、刑事ドラマで家庭裁判所での遺言書の開封までの手続きや必要期間等をきちんと表現してくれると、自筆証書遺言を書くインセンティブは高まるでしょうし、公正証書遺言も増えてくる気がします。そして、行政書士の役割は日常社会のモニタリングを通じて、争いを未然に防ぐための、実務法学のシナリオライターとして世間や地域に普及させることかもしれません。

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