相続における負債の承継

相続における資産の分配で争いごとが起きたり心理的なわだかまりで疎遠になったという話はよく聞きますし、そうならないためにも遺言をきちんと残した方がいいとのアドバイスも当然だと思います。

私は永年の親友であり、行政書士の先輩になる「赤ひげGパン行政書士」さんが主宰する「夢遊塾」で相続の課題や実務につき仲間とともに情報交換を重ねていますが、その中でも、負(マイナス)の資産、負債がある場合の対応につき、行政書士としてどこまで善管注意義務を負うのか議論したことがあります。

私はサービサー出身ですから負債に関してはひと際敏感な性質です。債権者が何を考え質問し行動しているか、その裏側にある意図が見えてしまうからです。事実、被相続人に多額の負債があるのに、それを知っていたのか知らなかったのかわかりませんが、結構、相続してしまって大変なことになったケースが多数ありました。余談ですが、不良債権化した場合、相続放棄するケースは膨大にありましたし、相続財産管理人を選任し債権回収する事例も沢山ありました。たまに相続しているケースまたは相続の熟慮期間中があり、その場合、債権者は期日管理をしながら、その推移を慎重に見守っているのです。

遺産分割協議書を作成する場合、司法書士や行政書士等の専門家が関与するケースと、相続人だけの話し合いでマニュアル本を見て作成するケースがあるのでしょう。銀行等金融機関に残っている現預金や有価証券を引出したり換金したりする手続きは結構面倒なものですが、急ぐあまり、負債を忘れてしまったのでしょうか?遺産分割協議書作成後に多額の負債があることを知った場合は相続放棄の申述が出来ますが、それもそれなりに大変です。

負債の主なものは借入金ですが見落としがちなのが保証債務です。平成17年に改正民法が施行され、包括根保証が禁止となり、期限のある限定根保証も契約期間は5年以内で保証金額は文書契約になりましたから、今後、昔の根保証による突然の借金発生はないでしょうが、被相続人が保証契約書を紛失等したり失念していた場合は起こりえる話です。

またアパートローンが残っている収益物件が相続財産となり複数相続人がいるとき相続人一人が当該アパートを相続したケースで、ローンの融資先である金融機関は相続人全員に対し法定相続分相当の免責的債務引受契約の締結を求めて来るでしょう。収益物件は入居率が高いと毎月の家賃収入で返済を継続できますが、メンテナンスが悪いとか、周辺の環境が変わったとか、色々な理由で空室率が高くなり、ローンが滞ることも想定されます。最悪の場合はアパートを処分しても負債が残ることもありますので相続人はそうしたリスクがあることも知っておくべきでしょう。

行政書士は債務整理の交渉等は弁護士法に抵触するため出来ませんが、そうした負債に関しての知識がない相続人に対しては慎重なヒアリングを実施し、法律家として最低のアドバイスをする必要があると思っています。

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