風営法の許可と事業継続について

行政書士の許認可申請のひとつに風俗営業の許可申請があります。所管は公安委員会、警察署で、事前に消防署、保健所、建築指導課等の関係機関との相談が必要です。また立地条件や店舗設備および経営者の資質等の審査も厳しく、実績のあるベテラン行政書士でも許可申請から2カ月位かかるため神経を使う難しい業務と言われています。私は新米ですので当分手掛けることはないと思っていますが・・・。

しかし、不良債権処理をするサービサーに持ち込まれる案件で、廃業せず強かに事業継続している主な業種は、旅館、観光ホテル、ファッションホテル、パチンコホール、飲食店等が直ぐに思いつきます。金融機関から新たな借入をしなくても何とか商事取引だけ、極端に云えば仕入れに関して売掛・買掛の調整で事業の継続が可能であり、かつ現金取引が多い業種です。

旅館や観光ホテルは風俗営業ではないので保健所が営業許可を出します。しかし、ファッションホテルやレジャーホテル、場合によってはビジネスホテルのごく一部には、旅館業の許可だけを保健所から受け、警察署が許可する風営法の許可申請や店舗型風俗届出をしていない所謂「疑似ラブホテル」と呼ばれているものが増えているそうで時々問題になることがあります。

最近、福山でホテル火災が発生し7名もの死者がでる惨事が起きました。以前から消防署の防災査察で避難経路の確保や排煙設備の不備につき改善措置を講じるように指導していたそうですが、「違法建築」ではなく「存続不適格」だったので建物の使用禁止命令が出せなかったと報道されています。しかし、改善指摘を受けながら、お金がないとの理由でその指示に従わなかった経営者の無責任さは重過失に相当すると思います。また、改善されないまま営業を続けさせた当局にも無作為がある気もします。

但し、この福山のホテルはラブホテルだったそうですから警察署の営業許可と風営法性風俗関連特殊営業の届出もしているはずですから、当然、取り締まりの行政庁は警察署になります。風営法の視点から、改善指導が出来なかったのか、と気になっていますが、残念ながらよくわかりません。

ただ、このホテルは1968年の創業で2006年まで創業者が経営しており死去とともに娘が社長に就任したそうです。社長は会社を別人に譲渡する予定だったそうですが、ここで風営法上の問題が発生します。つまり営業主の交代時は新たな営業許可の取得が必要になることです。しかし当局より長期に亘り数々の指摘を受けているホテルが営業許可を得るには指摘事項全てを改善する必要があります。譲渡にはこの改善費用負担が避けて通れないことになります。

また、不良債権処理の現場で、実質的には経営権を持つ株主が交代しても、前経営者をそのまま経営者として残し業務遂行を続けさせているケースに遭遇することもあります。これは、風営法改正やラブホテル規制条例の増加もあり、新規の出店が難しくなったため、老朽化し寂れたラブホテルであっても、その営業的な存在・存続価値に目を付けた新しい投資家が実質的に事業を買取したのち、内装と設備をきちんと整備し、以前の経営者を管理人(「名ばかり経営者」)にして事業継続をしているようです。

今後、当局の営業許可とその監督の在り方が検討されることになるでしょうが、安全上の改善指摘については実施するまでは何らかの対策が求められます。加え、風営法では廃業届も義務付けていますので速やかに実態把握をすべきと思います。

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